「自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えている」
「燃料販売業界は斜陽産業だ」
—就職活動を進める中で、このような報道に触れ、自分のキャリアに漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
特に、技術職を志す皆さんにとって、「EV化が進む中で、整備士の仕事は大丈夫だろうか?」という疑問は当然のものです。
2025年を振り返ると、確かに市場は大きな転換期を迎えています。ガソリン車から電動車へのシフト、そしてAIやソフトウェアによるDX(デジタルトランスフォーメーション)の波は、私たちの仕事を根本から変えようとしています。
2025年の自動車業界を振り返る
●「EV vs HV vs ICE」が交錯する複雑な移行期

世界のガソリン車(ICE車)の販売台数は、2017年の約9,200万台をピークに減少傾向にあり、EV(電気自動車)の販売台数はこの2020年以降約5倍に急拡大してきましたが、2024年に入ってからは減少傾向に入っていると言われています。とはいえ、全体的なEVのシェアはまだまだ小さい状態です。EVの価格、充電インフラ、航続距離など、消費者の懸念が完全には払拭されていないためです。
特に日本では、2022年1月のデータでは新車販売に占めるガソリン車の割合が41.2%に減少する一方、HVの割合が50.4%と大幅に増加しており、EVよりもハイブリッド車への需要が旺盛な状況が見られます。このように、自動車市場としては、非常に複雑な移行期の真っただ中にあると言える年でした。
【出典/参考】
『EV-DAYS by東京電力エナジーパートナー』より
『燃料別メーカー別登録台数(乗用車)2025年10月(一般社団法人日本自動車販売協会連合会)』
●国内の自動車保有台数の推移

日本の自動車保有台数全体は、約8,300万台で推移しており、台数としてはピークを過ぎて高止まり傾向にあると言えます。ただし、内訳をみると登録自動車(普通車・小型車)がわずかに減少する一方で、軽自動車が増加傾向にあり、構成比は変化しています。軽自動車に関していえば、主流(98%程度)が、ガソリン車(ICE車)、もしくは軽規格のハイブリッド車(HV車)となっており、EV車は一部の車種(日産サクラ、三菱eKクロスEV)などの車種に限られているのが現状です。
軽自動車のEV化の加速が難しい要因としては、その価格差が軽自動車層を購入される方の予算に合いにくいことと、充電インフラなどによるものが挙げられます。
【出典/参考】
『乗用車は3875.3万台、軽自動車は3371.3万台…主要車種別の自動車保有台数(最新)(ガベージニュース)』
『最新統計表(国土交通省)』
●SS整備士の「全方位型スキル」の価値

以上のことを踏まえて、当社のガソリンスタンドに勤務する整備士の目線に立つと、この「移行期」の複雑さこそが、SS整備士の市場価値を飛躍的に高める最大の要因となっています。
ディーラーのように特定のメーカーや新技術に特化するのではなく、SS整備士はガソリン車から、市場を牽引するハイブリッド車、そして最新のEVまで、あらゆる車種とシステムに対応できる「全方位型の知識と技術」が強みとなります。
2025年のガソリンスタンド業界を振り返る
●国内店舗数の推移

前のセクションで確認した通り、自動車業界は「EV vs HV vs ICE」が混在する複雑な移行期にあります。そして、この複雑な市場の波を真っ先に受けているのが、私たち燃料販売業界、すなわちガソリンスタンド(SS)業界です。
「ガソリン車が減れば、SSはなくなるのでは?」実際に、ガソリン需要の長期的な減少と、それに伴うSS店舗数の減少は紛れもない事実です。しかし、現状はEV化のの加速一色ではなく、HV車の需要が高止まりしていることや、ガソリン車の多い軽自動車のシェアが増加傾向にあることから、ガソリンに対する需要は急激に消滅するものではないという現場の確かな実感があるからです。
●今、店舗に求められるもの

SSの数が減るということは、残ったSS、特に地域インフラとして根付いた私たちのような企業の重要性が、以前にも増して高まっていることを意味します。淘汰の波を乗り越えた企業は、安定した経営基盤と、時代の変化に対応できる強靭なビジネスモデルを確立しています。
特に、ガソリンスタンド業界では、単にガソリンを給油する場所から、地域のカーライフをトータルで支える「モビリティサービス拠点」へと、その役割を劇的に進化させています。この進化の核心こそが、整備士の皆さんの持つ「全方位型スキル」に他なりません。
ちなみに当社では、お陰様でこの10年で1店も閉鎖させることなく、元気に営業ができております。また、自動車販売、保険、法人営業、新エネルギー事業など、新たな業界へのノウハウの蓄積も、店舗経営を土台として展開しています。
ガソリンスタンドに求められる役割
SSは単なる給油所から、地域のカーライフをトータルで支える「モビリティサービス拠点」へと業態を変化させることで、これからも自動車関連の整備技術の向上や、洗車・板金修理・車検や中古車販売などのサービスのさらなる深掘りはもちろん、他の小売業界がやらないようなユニークなことをやり始めるSSや企業も出てくる可能性がある場所と言えます。
●コアスキルは「技術」+「コンサルティング」

ディーラーや専門工場が「特定の修理」に特化するのに対し、SS整備士は「お客様の安全を守るコンサルタント」としての役割が求められます。
メーカーの壁を越えて、ICE車、HV車、そしてEV車まで、市場に存在するあらゆる車種に対応できる「全方位型スキル」が自然と身につきます。これは、幅広い知識と経験を積むことで、整備士としての市場価値を最大化できることを意味します。
またSSでは、給油や洗車で立ち寄ったお客様との日常的な接点が豊富です。整備士は、その場でタイヤやオイルなどの車の異常を診断し、その危険性をお客様の不安に寄り添って分かりやすく提案(コンサルティング)します。これは例えば、「ありがとう」という感謝を直接受け取れるからこそ、業界のトレンドと実際のニーズの違いなどをいち早くキャッチできます。こういったところは「ならでは」の特色かもしれません。
まとめ
2025年を振り返ると、自動車業界は複雑な移行期にあり、SS業界は大きな変革の最中にあります。しかし、この時代だからこそ、「安定した経営基盤を持つ企業」で、「技術とコンサルティングという市場価値の高いスキル」を身につけることが、皆さんのキャリアにとって最も賢明な選択となります。
私たち喜多村石油店は、皆さんが培ってきた専門知識と意欲を、この進化の舞台で活かせる環境を用意しています。技術者として成長しながら、地域社会に深く貢献できるキャリアを、ぜひここでスタートさせませんか。