「危険物取扱者(乙類第4類/通称:乙4)」という資格に対して、「ガソリンスタンドで燃料を給油・管理するための専門資格」という印象を持つ方は少なくありません。
しかし、エネルギー業界を取り巻く環境は大きく変化しています。2026年現在、脱炭素社会に向けた取り組みが進む中で、ガソリンや軽油といった従来の化石燃料に加え、EV(電気自動車)用の大型リチウムイオン蓄電池、水素、合成燃料(e-fuel)など、多様なエネルギーの導入が急速に加速しています。
これに伴い、安全管理の基準となる消防法や危険物関係法令の改正が行われ、危険物取扱者が取り扱う対象や役割の範囲も具体的に拡大しています。
今回は、2026年に実施された主な法令改正の動向と、今後のエネルギーインフラにおいて危険物取扱者が果たす役割について解説します。
【危険物取扱資格についてのコラム】
文系・未経験OK!危険物(乙4)一発合格ロードマップ(2026.10.2)
採用担当者Interview-喜多村石油店の資格取得支援(2025.9.9)
役立つ資格シリーズ vol.1- 危険物取扱者(2024.8.7)
2026年における危険物関係法令の改正と次世代エネルギーの動向

危険物取扱者の役割が変化している背景には、2025年と2026年に施行・整理された消防法および危険物規則の改正があります。特に「蓄電池設備」と「水素関連設備」の2つの分野において、明確な基準整備が進められました。
●リチウムイオン蓄電池設備に関する安全規制の明確化

再生可能エネルギーの出力変動緩和や、データセンター・産業施設での非常用電源として、大容量のリチウムイオン蓄電池の設置が急増しています。
リチウムイオン電池内部の「電解液」は、消防法上の危険物(第4類・引火性液体)に該当します。そのため、一定規模以上の蓄電池を設置・保管する際には、危険物としての管理が必要となります。
2026年の法令整備では、蓄電池の普及と安全確保を両立させるため、以下のような具体的な特例基準や管理要件が整理されました。
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屋外・屋内貯蔵における特例基準の適用
蓄電池の充電率制限(例:60%以下での保管管理)や包装・梱包基準、漏えい防止対策を講じることで、保管や設置に関する基準が明確化されました。
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安全試験等に基づく規制の合理化
一定の構造・試験条件を満たす設備について、貯蔵量の算定や離隔距離に関する規定が整理され、安全性を担保しながら運用しやすい環境が整えられました。
●給油取扱所(SS)における水素製造・改質装置の設置基準新設

2026年6月、危険物の規制に関する規則の改正(規則第27条の5関係等)により、給油取扱所(SS)において水素を供給するための基準が新たに導入されました。
具体的には、液体状で運搬しやすい有機ハイドライド(メチルシクロヘキサン/MCH)から水素を取り出す「改質装置」をSS内に設置する際の特例基準です。
・MCH(メチルシクロヘキサン/第1石油類・非水溶性液体に分類される可燃性の液体)や分解時に生じるトルエン、水素といった危険物・可燃性ガスの漏えいを検知した際に運転を自動停止する装置の設置。
・装置に接続する廃油タンクの容量制限(3万リットル以下)や取扱量制限(指定数量150倍未満)の明確化。
これにより、既存のサービスステーション(SS)の敷地を活用して、水素燃料電池自動車(FCV)等に水素を供給する「マルチステーション化」に向けた法的な基盤が整いました。
これらの改正が示すように、現在の危険物取扱者は、石油製品の管理にとどまらず、蓄電池の電解液や水素原料といった新たな化学物質の特性を理解し、適切に運用するための知識が求められるようになっています。
喜多村石油店における「総合エネルギー拠点」への取り組み
こうしたエネルギー構造の変化に伴い、喜多村石油店が運営するサービスステーション(SS)の機能も多角化を進めています。
地域の交通や物流を支える従来の燃料供給を確実に行う一方で、以下のような多様なニーズに対応できる「地域の総合エネルギー拠点」としての整備が進んでいます。
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石油製品の安定供給
これまで続けていた通り、今後もガソリン、軽油、灯油などの品質・安全管理の徹底を万全に行う。
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次世代エネルギーへの対応
EV充電設備の導入や、将来的な新燃料供給を見据えた設備の安全運用。
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地域の防災・BCP対応
災害時においても緊急車両や地域住民へのエネルギー供給を継続できる体制の維持。
複数のエネルギー形態が混在する拠点において、関係法令を遵守し、事故を未然に防ぐ安全管理の役割は、拠点の運営に不可欠な要素となっています。
今後のキャリアにおける資格の活用とサポート体制

危険物取扱者(乙4)の試験では、危険物の物理的・化学的性質、消火方法、関係法令などを網羅的に学びます。ここで得られる知識は、石油類だけでなく、化学品や蓄電池設備など扱う対象が広がった現代において、現場の安全を確保するための基礎知識となります。
喜多村石油店では、文系・理系や出身学部を問わず、入社後に基礎から知識を身につけられる環境を整えています。
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入社約2ヶ月での取得を目指すカリキュラム
未経験で入社した新入社員も、まずは仕事の基礎となる危険物取扱者(乙4)の資格取得を入社約2ヶ月後に目指します。
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「乙4試験対策道場」での集中学習
試験直前には3日間にわたる「対策道場」に通い、1日約8時間の勉強会で知識を集中して習得。翌日の本番試験へ向けて万全の準備を整えられる環境を提供しています。
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合格後も広がるキャリアステップ
乙4資格の取得後は、SSでの現場経験を重ねながら、将来的なSSマネージャーや、自動車整備士(2級・3級)、検査員資格といったさらなる専門資格の取得にも挑戦できます。
【関連コラム】
採用担当者Interview-喜多村石油店の資格取得支援(2025.9.9)
まとめ:危険物取扱者への道

危険物取扱者(乙4)は、単に特定の施設で給油作業を行うためのライセンスではなく、変化するエネルギーインフラの安全運用を支えるための国家資格です。
法令改正や技術革新に伴い、その対象範囲と重要性は広がっています。喜多村石油店では、こうしたエネルギーの変化に対応しながら、地域社会の安全とインフラを支える人材を育成しています。